物語
キュピドラは遠くから人間のカップルを見つめていた。喜びのあまり高く長く鳴き声を上げると、猛烈な勢いで羽ばたき、空中で狂ったように旋回する。胸を押さえて深呼吸をしたかと思うと、大空へ急上昇して360度宙返りし、沸騰したやかんのようにピーッと甲高い鳴き声を轟かせた。それから「落ち着け、エレガントに」と自分に言い聞かせるように、ゆっくりとカップルへ近づき、彼らの周囲を低空で飛び回りながら我を忘れて無邪気に宙を舞った。やがて体をかがめ、悠然と翼を広げて二人を背中へと誘い、彼らを乗せて湖面を滑るように飛んでいく。再び響き渡った歓喜の鳴き声は、ほんの微かに震えていた。











