物語
フィルトルは独自の芸術理想を持つ撮影の巨匠だ。その映像には極めて濃厚な個人の色が宿っている。映像評論家たちに言わせれば、人類の芸術基準で測ると、フィルトルの芸術理念は「前衛的」と呼ぶにふさわしく、「ポストモダン」ですらあるという。かくしてフィルトル監督の映像を愛することが、文芸青年の証のひとつとなった。フィルトルはこの評価をまんざらでもなく受け止めている。実のところ、フィルトルは変化を恐れている。かつてマホリーブに依頼して、より芸術的なフィルムテールを作ってもらおうとしたが、途中で引き返してしまった——マホリーブがこの秘密を誰かに漏らすのではないかと、ずっと怯えているのだ。









